写真の人は詐欺師? 写真の人に教えてあげるべき?

1.概要

国際ロマンス詐欺では、詐欺師は自分ではない他の人の写真を使って偽のプロフィールをつくり犯行に及びます。つまり、詐欺師が使っている写真の人は詐欺師本人ではありません。

実際に会って交流することを想定しているのであれば、誰しも他人の写真などは使いません。しかし、インターネットの遠隔操作で詐欺を働く犯罪者の場合、自分の写真を使って捜査関係者に見つけられてしまうことは避けたいはずです。

では、写真の人が誰だかわかったら、その人に知らせるべきでしょうか? 結論から言うと答えはNOです。詐欺師に写真を使われた人も、写真盗用被害者です。しかし、同じように「被害者」だから詐欺被害者と行動を共にしてくれると信じるべきではありません。

2. 写真の人が判明したらどうすべき?

詐欺師が使っていた写真を検索かけて、写真の人が誰だかわかったらどうすべきでしょうか? 

答えは、「そっとしておいてください」です。

「私が相手していたXXXXは成りすましで、写真の人はカリフォルニアの医師のYYYYさんなのだな。だから私の相手は詐欺師で間違いない。」と納得して、それ以上、写真の人に対する追及をしないことです。なぜなら、その人は詐欺とは関係ないからです。

写真が詐欺師によって盗用されていることを写真の主に伝えてあげる必要がない理由はいくつかあります。

 その写真が使われたのはあなたの相手が最初で最後ではない。
その人は自分の写真が詐欺師に使われていることをすでに知っています。そして何人もの被害者から連絡を受けているはずです。年に何千件も被害者からの連絡をうける写真の持ち主もおられます。あなたが教えてあげる必然性は全くありません。
 ②詐欺被害者からのコンタクトは歓迎されない
国際ロマンス詐欺被害者は写真の人にとっては「自分の知らないところで自分の写真を使った犯罪者と愛を語り合っていた人」であり、自分の生活に入り込んでほしくない相手です。コンタクトは嫌がられて当然と考えてください。 写真を使われた人の中には、自宅や職場に詐欺被害者から電話がかかってくるなどの迷惑をこうむった方々もおられます。参考:写真の人は何と言っているか(英語)https://romancescam.com/forum/viewtopic.php?f=22&t=48177
 ③写真の人が必ずしも良い人とは限らない
国際ロマンス詐欺被害者を色眼鏡で見る人もいます。実際Webカメラの前で脱いでほしいと言われたという方もおられます。写真の人が必ずしも写真の印象通りの良い人であるとは限りません。
コンタクトとった相手も詐欺師の場合がある
巧みに作り込んだウェブサイトやSNSプロフィールをつくる詐欺グループも存在します。つまり、あなたが写真の人と思って見つけた相手も詐欺師である可能性は否定できません。

3.それでもコンタクトを取りたいですか?

私たちは、詐欺被害者の方々が写真の人にコンタクトを取ることをお勧めしません。しかし、当然ですが私たちには、被害者の方々が写真の持ち主とコンタクトをすることを止める権限もありません。それは被害者の方々が自由にご自身で決定すべきことです。ここでご提供した情報をもとにご自身の答えを出してください。そしてご自身の行動には責任を持ってくださいね。

投稿者:武部理花