2025年から2026年にかけて、日本では「宇宙飛行士を名乗る詐欺」や「SNS型投資ロマンス詐欺」が大きく報道されました。しかし、こうした犯罪の原型は、実はかなり以前から存在していました。
そのことを示す重要な資料の一つが、2007年にBBCが報じた記事「UK police in Nigerian scam haul」です。
この記事では、ナイジェリアを拠点とする国際的な詐欺組織に対し、英国当局が大規模な摘発を行ったことが報じられています。BBCは当時すでに、「オンライン恋愛」を悪用した詐欺についても具体的に言及していました。
記事の中では、出会い系サイト利用者が恋愛感情を利用され、病気や家族の事故を理由に金銭を要求される手口が紹介されています。
これは現在日本で問題となっているSNS型ロマンス詐欺と、構造的にほとんど同じです。
「SNS型ロマンス詐欺」はインターネット普及とともに広がった
この問題を理解するには、当時の社会背景を見る必要があります。
1990年代後半から2000年代にかけて、世界は大きな「デジタルシフト」の時代に入りました。
いわば、産業革命に続く「IT革命」の時代です。
特に大きな転換点となったのが、1995年のWindows 95発売でした。
マイクロソフトが標準でインターネット接続機能を搭載したことで、インターネットは一部の研究者や技術者のものではなく、一般家庭へ急速に広がっていきます。
インターネット普及の流れ
- 1995年~2000年:インターネット普及開始期
- 2001年~2010年:定額常時接続の普及期
- 2010年代以降:スマートフォン・SNS時代
この変化により、人々の生活はとても便利になりました。
一方で、犯罪の世界にも新たな「市場」を生み出しました。
それまでの詐欺は、電話や郵便など、物理的な接触が必要でした。
しかしインターネットの普及によって、犯罪者は国境を越えて大量の人々に接触できるようになります。
BBCの記事でも、英国当局はこうした詐欺が「インターネットと携帯電話の悪用によって拡大している」と説明しています。
2007年時点ですでに「恋愛感情の悪用」が問題化していた
注目すべきなのは、BBCが2007年の時点で、すでに「オンライン恋愛詐欺(国際ロマンス詐欺)」を重要な問題として扱っていたことです。
記事では、詐欺師たちが出会い系サイト上で恋愛関係を築き、信頼を形成した後に金銭を要求する流れが説明されています。
さらに、被害者男性が約1万2000ポンドを送金した事例も紹介されていました。
これは現在のSNS型ロマンス詐欺でも典型的に見られる構造です。
当時から存在していた要素
- 恋愛感情の形成
- 長期間のメッセージ交換
- 「病気」「事故」「渡航費」などの理由による送金要求
- 国際送金
- 被害者の羞恥心による未申告
実際、BBC記事でも当局者は「被害者は恥ずかしさから通報をためらう」と述べています。
これは現在でも世界中の研究で繰り返し指摘されている問題です。
被害は「2007年以前」から存在していた可能性が高い
ここで重要なのは、「2007年にBBCで報道された」という事実そのものです。
通常、社会問題は発生してすぐ全国報道されるわけではありません。
一定数の被害蓄積、捜査、行政対応、社会認知が進んだ段階で、大手メディアが取り上げるケースが多いのです。
つまり、2007年時点でBBCが国際的なオンライン恋愛詐欺を報じていたということは、その数年前、あるいは2000年代初頭には、すでに被害が広がっていた可能性があります。
実際、この時代はちょうど以下の時期と重なります。
- Yahoo! Messenger
- MSN Messenger
- ICQ
- 初期の出会い系サイト
- 電子メール普及
- 常時接続インターネットの一般化
つまり、「知らない他人とオンラインで親密な関係を築く」という文化そのものが、急速に広がり始めた時代でした。
そして犯罪者たちは、その変化を極めて早い段階から利用していたのです。
SNS型ロマンス詐欺は「進化」しているだけ
現在のSNS型ロマンス詐欺は、AI画像、暗号資産、投資アプリ、ビデオ通話などを取り込みながら高度化しています。
しかし、その本質は2000年代初頭から大きく変わっていません。
- 「関係性」を作る
- 信頼を形成する
- 感情を利用する
- 金銭を要求する
- 被害者を孤立させる
つまり現在のSNS型ロマンス詐欺は、“新しい犯罪”というより、「インターネット時代に適応しながら進化し続けてきた古い犯罪」なのです。
2007年のBBC記事は、その歴史を示す貴重な記録と言えるでしょう。
参考までに、日本でも2009年にはすでに被害が発生していたことがこのFC2のBBSからわかります。


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