詐欺師が強制労働者だとカミングアウト

Q: コンタクトとっていた詐欺師が人身売買で詐欺組織に連れてこられた強制労働者であることをカミングアウトしてきた場合、どうすべきですか?

A: 結論から言うと、あなたに直接できることは限られています。救済が確約されるわけではありませんが、人身売買と戦う人権団体に情報を提供することができます。これにより、被害者の救出の可能性が増すことがあります。ただし、その後は強制労働者の安全のために彼らとの接触を控えることが重要です。理由は以下の2つです。

1.強制労働者の安全のため
東南アジアなどで強制労働を強いられている人々は、命の危険にさらされています。あなたとのやり取りが詐欺団の上層部に知られると、被害者は暴力を受けたり命を失ったりする可能性があるため、彼らの安全を考慮してコンタクトを断つ必要があります。

2.あなたの安全のため
詐欺師が強制労働者であるとカミングアウトすることも、詐欺的な手口の一つです。詐欺師が言っていることが真実かどうかは分かりません。情報を提供したら、接触を避けることで自らが巻き込まれるリスクを減らすことが重要です。

投資詐欺や投資型国際ロマンス詐欺は世界的に増加しており、組織犯罪によって実行されることもあります。特に東南アジアでは、人身売買被害者が詐欺センターで強制労働を強いられる悲惨な状況が報告されています。カンボジアだけでも10万人を超える強制労働者が詐欺行為を強いられていると言われています。

人権団体によると、成功できる救出方法は、被害者の出身国の大使館の介入です。被害者やその家族、またはNGOが直接地元の警察に連絡しても通常は応答が得られないことが多いですが、大使館が公式に被害者の情報を伝えることで、被害者はより安全な方法で救出される可能性が高まります。

救出後も被害者は苦境に立たされます。ビザはすでに期限が切れており、滞在国からはオーバーステイとみなされます。そしてオーバーステイの罰金を支払えないため、収容施設に入れられるなどの結果になるかもしれません。外交的な介入は彼らの罰金の問題の解決、そして安全に帰国できるようにするためにも重要であると言えます。

以下は、詐欺師が強制労働者であるとカミングアウトした場合に取るべき手順の要点です。

(1)情報を記録する
詐欺師から提供される情報を詳細に記録しましょう。これには、彼らの名前、連絡先、滞在国名、およそどのあたりにいるのかなど、あなたが聞きだすのが可能な内容だけで良いでしょう。それ以上を探るリスクを取る必要はありません。

(2)人権団体に連絡する:
強制労働や人身売買に関与していると思われる人権団体やNGOに情報を提供しましょう。彼らは被害者の救出やサポートのために活動しています。情報を提供することにより、被害者の救出に向けた調査や行動が進められる可能性があります。
例:HRC(https://humanity-consultancy.)
人身売買禁止ネットワーク(jnatip.net)

(3)強制労働者の安全を考慮する
強制労働者の安全を最優先に考え、彼らが外部と接触したことがばれて命を脅かされることを防ぐため、彼らとの接触を避けることが重要です。

重要なことは、被害者の安全と救出のために信頼できる組織や専門家のサポートを受けることです。彼らは経験豊富であり、被害者の権利と安全を守るために最善の方法を知っています。

投稿者:武部理花

参考資料
Mitzi Perdue(2022). The Pig-Butchering Scam – Human trafficking enables a major investment fraud. Psychology Today. (viewed 05. July 2023)
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/end-human-trafficking/202211/the-pig-butchering-scam

David Whitehouse(2023). Cambodia, Myanmar “Cyber-slaves” are being Recruited Globally, Research Finds. THE DIPLOMAT May 08, 2023.
https://thediplomat.com/2023/05/cambodia-myanmar-cyber-slaves-are-being-recruited-globally-research-finds/

Cezary Podkul, Cindy Liu(2022). Human Trafficking’s Newest Abuse: Forcing Victims into Cyber Scamming. ProPublica Sep. 13. 2022. (viewed 05 July 2023)
https://www.propublica.org/article/human-traffickers-force-victims-into-cyberscamming