知らない内にマインドコントロールされている!?

マインドコントロールと聞いて皆さんはどんなイメージを持ちますか?マインドコントロールとは英語の英語の「mind control」に由来している言葉で、直訳すれば「心の制御」となります。

マインドコントロールとは他者の言葉や態度、行動によって他者から心を操られてしまう状態のことを言います。一般社会の中で誰かが他人を思い通りに動かしたくて命令をするなどの、外的コントロール的な働きかけは沢山あります。

しかし、マインドコントロールとはそうした直接的なコントロールを使わずに、人の心理に訴えて、本人に自覚がないままにコントロールしていきます。

カルト教団や犯罪集団によって、マインドコントロールを行い悪事に加担させた事例などが過去の事件にも多くあります。(例 オウム真理教の地下鉄サリン事件)

国際ロマンス詐欺でも詐欺師はこのマインドコントロールを多用して、被害者の心を無意識のうちに操ります。

被害者があとから冷静になって考えて「なぜあの時に気が付かなかったんだろう?」と後悔しますが、それはこのマインドコントロールに操られた状態の中で気が付くことができないという危ない罠にはめられていたからです。

国際ロマンス詐欺に使われるマインドコントロールの特徴を見ていきましょう。

1.自己開示効果

「自己開示」とは、自分の考えや気持ち、あるいは生い立ちや人生歴など、個人的な情報を相手に知らせる心理学用語です。人と人が相互理解を深めるために、ありのままの自分を伝える自己開示は重要なコミュニケーションの一つです。

詐欺師は初期の段階で自己開示を上手に使うことによって被害者との信頼関係を深く築いていきます。

詐欺師の自己開示の中には不幸な身の上話が含まれていて、被害者の同情を誘うとともにそんな秘密を打ち明けてくれた相手に心を許していくという効果があります。

2.接触回数効果

SNSなどで出会った後に、LineやWhatsUpなどのメッセンジャーに誘導します。頻繁に会話のコミュニケーションをとることで好感度が高まります。

これは心理学的には「ザイアンスの法則」と言われるもので、接触頻度をあげていくだけで相手の好感度はあがっていくというものです。

詐欺師とスマホで頻繁なコミュニケーションをとることにより、いつも一緒にいるような親近感を感じ、好感度が上がっていきます。

3.2人だけの秘密効果

「この付き合いは2人だけの秘密にしよう」「この話は君だけに教えるから、他の人に言ってはいけないよ」そんなことを詐欺師は言います。

2人だけの秘密を持つと恋は盛り上がります。「2人だけの」というのがちょっと刺激的であり、2人の距離をぐんと縮める効果があります。

4.吊り橋効果

「吊り橋効果」とは、心理学用語で、 吊り橋を渡っているときのような緊張や恐怖を伴う状況下で、行動を共にしている相手に好意・恋愛感情を持つようになります。

ある時、突然のハプニングが起こり、それを一緒に乗り越えようとすることで、この吊り橋効果が詐欺師と被害者の絆をさらに強くします。

度重なる困難を2人で乗り越えていくことに意識が集中して、被害者はマインドコントロールに深くはまっていきます。

5.サンクコスト効果

今までかけた投資の時間や費用、精神的な想いに対して、返ってくる見込みが明らかに少ないのに、今まで掛けた費用や労力を惜しみ、少しでも元を取ろうと、もしくは投資分だけでも全額回収しようとする心理状態を言います。

詐欺を疑いながらも、先にかけたお金を取り戻したいと、さらに送金してしまう心理状態がこれです。「もったいない精神」ともいいます。

被害にあったあとに、詐欺師を深追いする心理もこれにあたります。

このように国際ロマンス詐欺の詐欺師は段階ごとに巧みに心理学的な手法を使って被害者をマインドコントロールしていきます。

冷静に考えたら絶対におかしいと思えるようなことを信じて疑わなかったのは、このようにマインドコントロールされていたからなのです。

投稿者:新川てるえ