国際ロマンス詐欺の見分け方:詐欺サイトを見破る! 実践編【5】偽取引所

詐欺に使われるサイトの目的、サイトの調査の仕方についてご説明してきました。実際に詐欺に使われたサイトを見てみましょう。今回は暗号資産やFX, ゴールドなどの偽取引所です。ここでまずお断りしておきますが、今までご紹介してきたものはゲートウェイを使って中をある程度探ることができたのですが、この偽取引所はそこまですることができません。ログインをしないと中身まで見れないからです。しかし外観だけ比べるのも、これがいかにも偽物であるかを知るてがかりになります。

偽取引所・偽投資サイトの目的と機能

ここで紹介する偽取引所サイトは実際にSNS型投資詐欺・投資型国際ロマンス詐欺に使われたものです。SNSで知り合った相手に投資を薦められ、被害者が利用した偽取引先をお見せしましょう。そしてそのログインが必要な部分まで到達はしていませんが、同じ構造と外観を持つサイトを何と400近く発見しました。400ものトップページのスクショをとることはあまり意味を持ちませんので、その一部だけご紹介することとします。これだけクローンがあること自体、偽取引所は本当に偽物だとご理解いただけるでしょう。

サイトの目的

このサイトの目的は、被害者に見せかけの投資をさせ、そのお金が増えて、最初はお金を引き出して自分の銀行口座や暗号資産の口座に入れることが出来るということを示し、最終的に投資額が膨らんで巨額の資産を手に入れたと思い込ませることです。

サイトの機能

本物の投資サイトそっくりに作られたこのサイトでは、ユーザーがログインをすると自分の投資口座にアクセスでき、その日の相場の動向や自分の総資産などが表示され、投資で儲かっているかのような錯覚を起こさせる機能となっています。個人情報などの詐取もここで行われると思われます。(ログインしないと見えないコンテンツにはアクセスできません)

偽物であると言える理由

URLを見る:トップレベルドメイン(一番右側の文字列)がtopになっています。これはオンラインショップやスタートアップなどに使われることもありますが、比較的とりやすいトップレベルドメインの一つです。WHOS情報を調べると、2024年8月に作られたサイトであることがわかります。そしてオーナー(レジストラント)の情報がWHOISで隠されています。これも偽サイトの特徴です。

Domain Name: nyomex.top
Updated Date: 2024-08-13T08:04:00Z
Creation Date: 2024-08-13T07:55:03Z

Registry Expiry Date: 2025-08-13T07:55:03Z
Registrar: Domain International Services Limited

Registry Registrant ID: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Name: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Organization: ruiwang
Registrant Street: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant City: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant State/Province: hualian
Registrant Postal Code: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Country: TW
Registrant Phone: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Phone Ext: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Fax: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Fax Ext: REDACTED FOR PRIVACY
Registrant Email: Please query the RDDS service of the Registrar of Record identified in this output for information on how to contact the Registrant, Admin, or Tech contact of the queried domain name.
Registry Admin ID: REDACTED FOR PRIVACY

ツールの判定結果:このNyomexという取引所は、Norton Safe Webで「疑わしい」と判定されており、Scamadviser, Scam DetectorScam Docなどのサイトの信頼性を調べるサイトではどれも低い評価を出してきています。

全く同じ構造・外観の複数のサイトの存在:URLを調査するサイトで検索すると、全く同じ構造・外観を持つサイトが391存在することがわかりました。本当に同じトップページの外観です。それが2,3サイト揃っているというのではないのです。400近い偽投資サイトが同じデザインでネット上に存在することをあなたはどう考えますか?

このサイトの使われ方を被害者目線で見る

詐欺ストーリー例(ニュース記事をもとにChatGPTが創作)

私はD子、40代の日本人で、独身生活が長く、心の隙間を埋めるためにSNSを使い始めました。ある日、シンガポールに住むイケメンの投資家と出会いました。彼は私にとって夢のような存在で、優雅な生活をしていることを誇らしげに見せ、私を「Baby」や「妻」と呼んで甘い言葉をかけてくれました。

最初は、ただの友達として話していたのですが、次第に彼は「僕たちの未来のために、一緒に投資を始めよう」と誘ってきました。最初は不安でしたが、彼が言うには、少額の投資で簡単に利益を得られるということ。彼を信じ、試しに20万円ほど投資してみました。すると、数日後、本当に利益が出て、すぐに引き出すことができました。その時は「これは本物だ!」と確信し、彼にもっと投資するよう説得され、銀行からお金を借りてさらに投資をしました。

彼は「これで僕たちは一生安泰だ」と言い、私は彼の言葉にますます信頼を寄せました。結果的に、私は3000万円という大金を彼の紹介する投資に注ぎ込みました。サイト上では、投資はどんどん膨れ上がり、1億円以上の利益が表示されていました。

「これで借金も返せるし、これからの人生はバラ色だ」と思い、いよいよその1億円を引き出そうとしました。しかし、その時、彼から「引き出すには保証金が必要だ」と言われたのです。最初は180万円を支払うように指示され、少し不安がよぎったものの、ここまで信じてきたのだからと、さらに借金をして支払いました。

しかし、その後も次々と「手数料」や「税金」と称して追加のお金を要求され、ついに手持ちのお金も借り入れも底をついてしまいました。彼に連絡を取ろうとしましたが、突然、彼からの連絡が途絶えました。

その瞬間、全てが崩れ落ちました。投資も、彼との未来も、すべて詐欺だったのです。私は大きな借金だけが残り、心身ともに打ちのめされました。これが詐欺だと気づくまでに、あまりにも多くの時間とお金を失いました。

今となっては、あの時彼の言葉に惑わされず、もっと慎重に行動すべきだったと後悔しています。どんなに親しくなったとしても、ネット上の人を無条件に信じて投資に手を出すことは絶対にしてはいけないと、今なら心からそう思います。

まとめ

詐欺に使われる偽暗号資産取引所や偽投資サイトについて、実際に被害者がどのように騙されるかを解説しています。特に暗号資産やFX、ゴールド取引を装った偽サイトを紹介し、これらのサイトが被害者に見せかけの投資をさせて巨額の資産を得たと思い込ませる仕組みを説明しました。ログインしないと内部が確認できないため、他の詐欺サイトに比べて探れる部分は少ないですが、WHOIS情報や同じ構造や外観を持つサイトの存在などから、この種のサイトが詐欺サイトであると実感できるでしょう。

偽取引所や偽投資サイトを使ったSNS型投資詐欺は、近年爆発的に増加しています。そして同じ構造を持つ偽サイトが400もあるということは、この種の犯罪において偽サイトを作るためのキットが闇でうられているのだということがわかるでしょう。最初はわずかな利益を引き出して自分の銀行口座などでお金を受け取ることが出来ます。このような経験をすることで被害者はそのサイトが本物の投資サイトだと信じ、投資を教えてくれた相手(詐欺師)を信じるようになり、より大きなお金を投資するようになります。そして大金を投じた後はそれを引き出すことが出来ず、税金や手数料などとして大金が次々と請求されます。この種の詐欺は英語でピッグブッチャリング、豚ト殺と呼ばれ、被害者の全財産を騙し取るものです。その詐欺行為の重要なツールがこの二世投資サイトであると言えます。

偽投資サイトを見分けるには、URLやセキュリティ情報を確認することが重要です。また、信頼できるセキュリティツールを利用することで、詐欺のリスクを軽減できます。ケースストーリーであるように、ネットで知り合った相手から投資の話が出たら、例外なく詐欺だと疑うべきでしょう。