知らない人からの友達申請に注意!データで解明されたSNS型投資・ロマンス詐欺の恐ろしい「被害プロセス」

手口モデル
手口モデル犯罪学

SNS型投資・ロマンス詐欺の被害過程
島田貴仁、齊藤知範、山根由子、佐光未帆

要約

2025 年の日本環境心理学会 第18回大会で発表された科学警察研究所島田貴仁先生らのグループの研究で、深刻な社会問題となっているSNS型投資・ロマンス詐欺の被害メカニズムを、約4.6万人の大規模調査から明らかにしたものです。調査の結果、知らない相手からの友達申請が被害の大きな入り口となっており、その応答率は22.2%に上ることが分かりました。特に注目すべきは、一度「誘引(投資や送金の誘い)」の段階に進むと、5割から8割という極めて高い割合で実際の送金被害に至ってしまうという実態です。被害を防ぐためには、投資への関心よりも「物質主義的価値観」や「情報行動」といった背景要因を理解し、関係構築が始まる前の「予兆段階」で遮断することが極めて重要であると提言しています。

研究方法

18歳から79歳の男女46,389人を対象とした大規模なインターネット調査が実施されました。 調査では、以下のステップで被害の深まりを測定しています。

予兆経験: 投資関連広告、LINEグループへの強制追加、知らない人からの友達申請など。

被害段階: ①関係構築 → ②誘引 → ③送金の3ステップ。

背景要因の分析: 特殊詐欺への脆弱性、物質主義、ロマンティック信念、孤独感、情報行動などの心理的・行動的要因との関連をロジスティック回帰分析によって検討しました。

この研究で明らかになったこと

友達申請が最大の「予兆」: 知らない人からの友達申請を経験する人は34.5%に及び、そのうち2割以上が応答しています。これは広告やグループ追加への応答率よりも高い数値です。

誘引された後の「逃げにくさ」: 投資誘引型や金銭訴求型のロマンス詐欺では、誘引段階に進んだ人の約8割以上(84.3%〜86.4%)が最終的に送金してしまっています。

リスク要因の特定: 詐欺への応答には、意外にも「投資への関心」や「孤独感」そのものは有意に関連していませんでした。一方で、「物質主義(モノや富を重視する傾向)」や「特殊詐欺に対する脆弱性」、「投資に関連する情報行動」が、詐欺の予兆に応答してしまう強いリスク要因となっていることが明らかになりました。

この研究の社会への貢献

この研究は、SNS型詐欺の対策において「どのタイミングで介入すべきか」を明確に示しました。一度加害者との関係が構築され、投資や送金の誘い(誘引)を受けてしまうと、心理的に拒絶することが非常に困難になります。そのため、支援者や当局は「知らない人からのコンタクト」という初期段階でのブロックをより強く啓発する必要があります。また、個人の価値観やSNS上での行動特性がリスクに関わっているという知見は、ターゲティング広告などの技術を逆手に取った、より効果的な防犯情報の配信システムの構築に役立つことが期待されます。


タイトルSNS型投資・ロマンス詐欺の被害過程
類別カンファレンス・プロシーディングス(ポスター発表要旨)
筆者島田貴仁、齊藤知範、山根由子(科学警察研究所)佐光未帆(筑波大学大学院)
雑誌名環境心理学研究
発行者日本環境心理学会
発行日2025/05/28
巻数・ページ第13巻 第1号、56ページ
言語日本語
URLhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jenvpsy/13/1/13_56/_pdf/-char/ja
Cite島田貴仁, 齊藤知範, 山根由子, & 佐光未帆. (2025). SNS型投資・ロマンス詐欺の被害過程. 環境心理学研究, 13(1), 56.https://doi.org/10.20703/jenvpsy.13.1_56

コメント

タイトルとURLをコピーしました