ドラッグミュール

ドラッグミュール(Drug mule)

「ドラッグミュール(Drug mule)」とは、麻薬組織などの犯罪グループによって、不正な薬物を国境を越えて運ばされる「運び屋」のことを指します
国際ロマンス詐欺の被害者も、自分の預かり知らないところでこの役割を担わされてしまったという深刻なケースが存在します。日本でも2023年1月に、成田空港到着時に約2kgの覚醒剤(メタンフェタミン)が二重底のスーツケースから見つかり、オーストラリア人の女性(国際ロマンス詐欺被害者)が逮捕起訴されています。
ドラッグミュールに仕立て上げられるプロセスには、以下の特徴があります。
  • 巧妙な勧誘と心理的支配:犯人は数年にわたる「グルーミング(信頼関係の構築)」を通じて被害者を心理的に支配し、自分を助けるための重要な役割(軍人の婚約者など)を被害者に与えます
  • 渡航と「贈り物」の罠:被害者は、偽の公的書類への署名などの口実で海外へ呼び出されます。帰国直前の混乱した状況下で、「親戚へのクリスマスプレゼント」といった名目の荷物(実際には麻薬が隠されたバッグなど)を運ぶよう依頼されます
  • 無知のままの犯罪加担:被害者は中身が麻薬であるとは知らされず、善意や恋愛感情、あるいは「困惑(Discombobulation)」と呼ばれる精神的な混乱状態から、その依頼を引き受けてしまいます
  • 深刻な法的結果:たとえ騙されていたとしても、空港の税関などで検挙されれば麻薬密輸容疑で逮捕・起訴され、外国で長期の拘禁を強いられるなど、極めて重大な法的責任を問われることになります
国際ロマンス詐欺被害者が薬物密輸のドラッグミュールにされることは、この種の詐欺が単なる金銭搾取から、より組織的で凶悪な国際麻薬密輸の手段へと悪質化していることを示しています
手口モデル

愛の果ての罠:国際ロマンス詐欺から「麻薬の運び屋」にされた被害者の心理と手口を解明

国際ロマンス詐欺の被害者がなぜ「麻薬の運び屋」にされてしまうのか?2年間のチャットログを分析した最新論文を解説。睡眠奪取や署名を用いた高度なマインドコントロールの手口、そして最終段階「困惑」の恐ろしさを専門家視点で解き明かします。