マネー・ロンダリング(資金洗浄)

1. マネー・ロンダリングの定義

マネー・ロンダリング(Money Laundering)とは、犯罪によって得た「汚れたお金」を、架空口座や複雑な送金を繰り返すことで出所を隠し、正当な手段で得た「きれいなお金」に見せかける行為を指します。

主な目的は以下の3点です。

  1. 追跡の回避: 捜査機関による資金移動の追跡を断ち切る。

  2. 没収の防止: 犯罪収益として差し押さえられるのを防ぐ。

  3. 再投資: 洗浄した資金をさらなる犯罪活動や合法的なビジネスに活用する。

2. SNS型詐欺でみられるマネー・ロンダリングの例

SNS型詐欺(SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺)では、被害者から騙し取った金を即座に移動させ、現金化するために以下のような手法が組み合わされます。

 暗号資産(仮想通貨)の悪用

SNS型詐欺で最も多用される手法です。

  • 手口: 被害者に偽の投資サイトやアプリで「ビットコイン等を購入して指定のアドレスに送金」させます。

  • 洗浄方法: 送金された暗号資産を、匿名性の高い「ミキシングサービス(複数の送金を混ぜ合わせる仕組み)」に通したり、海外の無登録交換所を転々とさせたりすることで、最終的な受取人を特定不能にします。

個人間送金アプリと「出し子」の利用

  • 手口: 日本国内の銀行口座やPayPayなどの送金アプリを悪用します。

  • 洗浄方法: 詐欺グループは、SNSで「高額バイト」として募集した「出し子(受け子)」の口座に被害者から直接送金させます。出し子は即座にATMで現金を引き出し、別の指定口座へ入金するか、物理的に現金を回収役に手渡します。これにより、犯行グループ本体と資金のつながりを遮断します。

 法人・個人口座の売買(スマーフィング)

  • 手口: SNS上で「不要になった銀行口座を買い取ります」という広告を出し、SNSユーザーから口座を買い取ります。

  • 洗浄方法: 買い取った複数の「他人名義口座」に、被害者の金を少額ずつ分散して送金します。一回あたりの送金額を小さくすることで、銀行の不正検知システムを回避しようとする手法です。

オンラインカジノやゲーミングチップへの変換

  • 手口: 海外のオンラインカジノサイトを利用します。

  • 洗浄方法: 詐欺で得た資金をオンラインカジノのチップに変換し、少しだけプレイした後に「払い戻し」として自分の口座へ戻します。これにより、名目上は「カジノでの勝ち金」という正当な理由に見せかけることができます。

3. 心理的側面と注意点

SNS型詐欺、特に「豚屠殺(Pig Butchering)詐欺」などでは、犯人は被害者との信頼関係を築いた上で、これらマネー・ロンダリングのプロセス(送金作業)の一部を「二人の将来のため」「手数料の支払い」といった名目で被害者自身に行わせることもあります。

マネー・ロンダリングの手口は日々巧妙化しており、特に「暗号資産での送金指示」や「個人名義の口座への送金」を求められた場合は、詐欺である可能性が極めて高いと言えます。

犯罪学

被害者と警察官のインタビューから明らかになったSNS型投資ロマンス詐欺の全貌

殺猪盤(ハイブリッド恋愛投資詐欺)は「恋愛×儲け話」で信頼を作り、少額テストから高額被害へ誘導する越境型の組織犯罪です。本論文を基に手口の特徴、従来型ロマンス詐欺との違い、対策の要点を解説します。
手口モデル

国際ロマンス詐欺の解剖図

Whittyの研究をもとに、恋愛ロマンス詐欺の「5つの段階(プロフィール→親密化→送金要求→性的搾取→発覚)」を図解。手口・心理・対策を社会人向けに解説します。