家族がSNS型詐欺・SNS型ロマンス詐欺等の被害に遭っている?

頭ごなしに反対したり、強引にお金をとりあげたりしても解決にはなりません。家族としてできることは、今できることに焦点をあてて、できないことに拘らずに少しづつ前に進むことです。

家族がSNS型詐欺に巻き込まれていると気づいたら——いま、あなたにできること

大切な家族や友人が「国際ロマンス詐欺」や「SNS型投資詐欺」に巻き込まれているかもしれない——そう感じた瞬間、強い不安や焦りを覚えるのは当然です。ですが、正しい関わり方を選ぶことで、被害の拡大を防ぎ、当事者が自分の足で現実に向き合えるよう支えることができます。ここでは、動画の内容をわかりやすく整理し、今日から実践できる対処法をまとめました。


よくある状況と最初の落とし穴(バックファイア効果)

被害の最中にある人は、詐欺師を「信頼できる特別な相手」として心の中心に置いています。そこで「それ、詐欺だよ」「公式サイトではこう言ってる」と事実を突きつけると、かえって信念を固めてしまう現象(バックファイア効果)が起きがちです。

相手は第三者の指摘を詐欺師に相談し、「家族は嫉妬している」「外野は嘘だ」と言いくるめられて孤立を深めます。

NGな声かけ例
「目を覚まして!」「証拠は揃ってる。相手は詐欺師だ」
→ 反発・ブロック・連絡断絶につながりやすく、状況が見えなくなります。


まずは「否定しない」聴き方に切り替える

相手の「心のアルバム」(選択理論でいう上質世界)には、

  • 一緒にいたい相手(=詐欺師の人格像)
  • 叶えたい経験(遠距離の恋・将来の約束)
  • その信念(相手は自分の味方・理解者)
    が貼り付いています。この世界観を真っ向から壊そうとすると、あなたとの関係が断たれるため、まずは安全に話せる場づくりが最優先です。

推奨の声かけ例
「心配だから、どう思っているのか教えてほしい
「あなたが信じていることを(否定せずに)一緒に考えたい
「お金の話が出たら、一度だけ私にも相談してくれると助かる」

ポイントは、評価・反論をいったん横に置いて聴くこと。「話しても責められない」と分かったとき、相手は少しずつ内情や悩みを開示してくれます。


被害拡大の“仕組み”を知って対処する

詐欺には次の二つのエンジンがあります。

  1. 孤立化:周囲の助言を「嫉妬」「邪魔」と見なすよう誘導し、相談先を詐欺師だけに絞らせます。
  2. サンクコスト(コンコルド)効果:かけた時間・お金を取り戻したくて、さらに支払ってしまう心理。

やるべきことはこの二つのエンジンを止めること。

  • 孤立の予防:連絡手段を確保(ブロックされない・感情的に追い詰めない)
  • 追加送金のブレーキ:「請求が出たら一緒に一度だけ考える」合意を地道に積み上げる

家計・資産を守るための現実的ステップ

被害の見極め途上でも、共有資産の防衛は同時並行で進めます。

  • 共同名義の口座・クレジット・電子マネーの利用枠を一時的に見直す
  • 家族内ルール:「10万円以上の送金は家族のダブルチェック
  • 急な借入・カード新規発行・暗号資産口座開設などは即相談を合言葉に
  • 記録を残す:送金履歴・メッセージ・画像を静かに保全(スクショ、日時)

※ 上記は相手を責めずに淡々と環境を整えることが肝心です。


会話が進んできたら——プロにつなぐ合図

信頼関係ができてきたら、第三者(専門家)の提案をします。

誘い方の例
「あなたを信じているよ。そのうえで、専門家の意見も一度だけ一緒に聞いてみない?
「断っても大丈夫。タイミングはあなたのペースでいいから」

一度で難しければ、引き際を守り、数日後や新しい請求が出たタイミングで再提案します。
(NPOや専門カウンセラーの無料/有料相談窓口の情報を、すぐ出せるよう手元に準備しておくとスムーズです。)


緊急時の目安

  • 大口の追加送金を迫られている/期限を切って急かされている
  • 仕事や健康・家族関係に深刻な影響(睡眠障害、欠勤、学業不振 など)
    この場合は、感情的対立を避けつつ、即日で専門窓口の同席相談を打診してください。

まとめ:関係を切らさず、送金のブレーキを育てる

  1. 否定しないで聴く(関係を守る)
  2. 「請求が出たら一度相談」の合意(ブレーキをつくる)
  3. 資産防衛の環境整備(枠・記録・ルール)
  4. タイミングを見て専門家と三者で話す(視点を増やす)

これらは、相手の尊厳を守りながら被害拡大を防ぐ、いちばん現実的でやさしい介入です。


すぐ役立つ「そのまま使える」ひと言集

  • 「心配だから、どう思ってるか教えて
  • 「あなたの考えを否定しないで一緒に考えたい
  • お金の話が来たら一回だけ相談してくれる?」
  • 断っても大丈夫。タイミングはあなたに合わせるね」
  • 専門家の意見を一度だけ一緒に聞いてみよう。嫌なら今日はやめよう」

次の一歩

  • このページの元になった動画を、ぜひご家族と一緒にご視聴ください。

  • こちらのチラシをダウンロードして、冷蔵庫・玄関・デスク脇など、さりげなく目に入る場所に置いてください。
    無理な説得よりも、自分のタイミングで目にする情報のほうが、心に静かに届きます。

困ったときは、NPO CHARMSの相談窓口。無料相談と、必要に応じて専門カウンセラーの相談(有料)もご案内しています。あなたひとりで抱え込まなくて大丈夫です。ここから、伴走します。

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