中学生をフィッシング詐欺から守る!体験型サイバーセキュリティ教材の必要性と教育現場の実態調査

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サイバーセキュリティ啓蒙における教材開発の検討 (Examination of Teaching Material Development for Cyber Security Awareness)
 近川瑞樹、枦健一、福田豊、櫻井健一、伊藤宗平

要約

スマートフォンの普及に伴い、若年層がフィッシング詐欺の被害に遭うリスクが深刻化しています。本研究は、従来の座学中心の教育では学習者が主体的に関わりにくいという課題を解決するため、詐欺を擬似体験できる「体験型アプリケーション」の開発を目指したものです。その足掛かりとして、鹿児島県の中学校で生徒と保護者を対象に実施されたサイバーセキュリティ講座の結果が報告されています。調査の結果、生徒のほぼ全員が日常的にスマホを利用し、既に詐欺メッセージに接触している実態がある一方で、サイバー犯罪への認知度は低く、リスクのある行動を取ってしまう可能性が浮き彫りとなりました。

研究方法

本研究では、2025年7月に鹿児島県長島町立長島中学校にて、生徒61名および保護者24名を対象とした「サイバーセキュリティ講座」を実施しました。講座では、インターネット詐欺の事例紹介やSNSの注意点、詐欺に直面した際の対応策について解説が行われました。同時に、生徒たちのインターネット利用端末、利用時間、フィッシング詐欺メッセージの受信経験、およびサイバー犯罪に対する認知度について聞き取り調査を行い、現状の課題を抽出しています。

この研究で明らかになったこと

調査を通じて、現代の中学生のネット利用環境とリテラシーのギャップが明確になりました。

利用の実態: ほぼ全ての生徒がスマートフォンを主要なアクセス手段としており、毎日1時間以上、中には2時間以上利用している生徒も確認されました。

詐欺との接触: 驚くべきことに、全生徒がフィッシング詐欺の疑いがあるメッセージ(SMS等)を「実際に受信した」または「受信したのを見たことがある」と回答しており、詐欺が極めて身近な脅威となっていることが分かりました。

認知度の低さ: 接触経験は多いものの、サイバー犯罪そのものを「知っている」と答えた生徒は数名に留まり、怪しいメッセージを「とりあえずクリックしてみる」という危険な選択をする生徒も存在しました。

この論文の社会への貢献

この論文は、若年層に対するセキュリティ教育が「知識の伝達(座学)」だけでは不十分であることを示唆しています。生徒たちが日常的に詐欺リスクに晒されている現状をデータで示し、実際の詐欺事例を安全に擬似体験できる「体験型教材」の開発が急務であることを提言した点に大きな意義があります。これは、教育現場や行政、被害者支援団体がより実効性の高い啓発プログラムを構築するための重要な指針となるでしょう。


タイトルサイバーセキュリティ啓蒙における教材開発の検討 (Examination of Teaching Material Development for Cyber Security Awareness) 
類別カンファレンス・プロシーディングス
筆者近川瑞樹、枦健一(鹿児島高専)福田豊(九州工業大学)櫻井健一(産業技術短期大学)伊藤宗平(長崎大学)
雑誌名電気・情報関係学会九州支部連合大会 講演論文集
発行者電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
発行日2025/09/18 – 2025/09/19
巻数・ページ78
言語日本語
URLhttps://doi.org/10.11527/jceeek.2025.0_191https://www.jstage.jst.go.jp/article/jceeek/2025/0/2025_191/_pdf/-char/ja
Cite近川瑞樹, 枦健一, 福田豊, 櫻井健一, & 伊藤宗平. (2025). サイバーセキュリティ啓蒙における教材開発の検討. 2025年度 電気・情報関係学会九州支部連合大会 講演論文集, 191.https://doi.org/10.11527/jceeek.2025.0_191

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